姿勢と腹圧
「骨盤の前傾」の原因は、骨盤底筋
「骨盤の前傾」の原因は、骨盤底筋を使ってない事が最も多いです。
前回の続き骨盤の角度とターンアウト
お話を聞く中で、よくある間違いが「背骨が真ん中にある」と思っている事です。
背骨の椎間板が身体の中心にあるのは、腰と首ぐらいで、あとのほとんどは中心より後ろにあります。
「背骨は後ろ」なのです。
『軸』があるといわれて、その軸が『背骨』だと錯覚してしてしまい、背骨に乗るような形で立とうとしてしまいます。
既にその時点で背骨を反ってしまってます。
さらに悪い例は背骨の椎間板のところに乗るのではなく、背骨の後ろ側にある関節の部分をロックするような形で背骨に乗っている人です。こんな風に関節に体重をかけていてはすぐに怪我をします。絶対にやめましょう。
イメージとしては背骨は後ろにあり、その前に「お腹や胸」があり、その圧力に背骨が支えてもらっている感じだと思った方が分かりやすいと思います。
背骨を安定させるのに大事なのはこのお腹の圧力です。
その圧力を高める為にはどうすればいいでしょうか。
想像してみてください…
少し空気が抜けたボールがあるとします。
これを少し潰すようにするとパンパンになり、圧力が上がると思います。
これと同じことを人体ですればいいのです。
これをすると変な力が入りますし、お腹の上の部分をさらに上に持ち上げる動き(横隔膜を上に引き上げる運動)なので意味はないです。
腹筋は運動の連鎖の関係で力を入れると全身が丸くなる方向に働きます。
(これについてはまた後日..)
上記2つの手段ではダメでした。では他にどこがあるでしょうか。
力の入れ方としてはお尻の穴をキュっと締めるイメージです。女性ですと膣にチカラを入れる感じです。
間違っても俗にいうお尻「大殿筋」には力は入れたらダメです。
最初はお尻に手を当てて、大殿筋にチカラが入っていない事を確認しながら肛門や膣のあたりに力を入れてみてください。
上手くできていれば、おヘソの下が少し固くなっていて、逆におヘソの上はそんなに固くない状況を作れると思います。
この状態をキープしていれば腹圧がしっかりしているので、骨盤の前傾を防ぐ事ができます。
前傾する理由
そもそもなぜ前傾してしまうのでしょう..?
普通に立っていれば足の前後の幅はこれだけありますが
つま先を外に向けると前後の幅がかなり少なくなります。
しっかり姿勢の筋肉が活動していなければこの状態ではなかなかバランスが取れないのが絵をみるとわかると思います
他にも筋肉の連動などいろいろあるでしょうが、基本的にはバランスがとれず前傾になっています。
つくし治療院でターンアウトがしっかりできていない方に基本的な2番の姿勢を取らせた状態でゆすって姿勢を維持できた方はいません。
ターンアウトをしようとするとバランスが崩れ前傾になる
↓
前傾になるからターンアウトができない
↓
よってターンアウトは不完全な上、骨盤が前傾した悪い姿勢になっている
実は「立てている」と思っていてもちゃんとバランスが取れてない人がかなり多いです。
そのうえバレエの先生たちは指導の中で「タックイン」という「骨盤を後傾させる姿勢」をしないよう強く注意しています。
それなら逆に「前傾させてしまおう」となっている方が多いのではないのかと思います。後傾姿勢の「タックイン」よりは見栄えも良いのは確かですしね。
人間の体には転ばないように、バランスを自動で取る機能が元からしっかり備わっています。
余計なところに、余計なチカラが入らず「姿勢筋」が機能していれば自分で意識しなくてもバランスは自動でとれます。
そのために必要なのがこの骨盤底筋の力です。
このシステムが分かれば皆さん揺すっても簡単には崩れず、姿勢がとても楽になる事を実感されています。
しかしこのシステムが分かったとしてもうまくいかないケースがあります。
次回へ続く
つくし治療院では
参考文献
『インサイド・バレエテクニック』大修館書店
『カパンジー 機能解剖学』医歯薬出版